センスが悪くて・・・と嘆く前に。

ファッション・ジャーナリスト光野桃さんの著書、
「私のスタイルを探して」は、
もう15年も前に書かれた本ですが、
今読んでも、まったく古びていません。

な?んて、

いかにも、ずっと前から愛読している本を、
ふと思い出し、改めて読み返してみた・・・的な、
気取った口調で書いていますが、
何を隠そう、先日、たまたま
古本屋で見つけて105円で購入したのでした。

1956年生まれの光野さんが
40歳を目前に書いたこの本には、
さまざまな試行錯誤を経て、
自分の納得いくスタイルを手にするまでのプロセスが、
とても具体的に、リアルに描かれていました。

自分の体形を考慮に入れず、
華奢でコケティッシュな
ジェーン・バーキンをめざして失敗したり。

ニュートラ・ファッションに身を包み、
パールピンクの口紅つけてコンサバしていたら、
昔のロック仲間にあってバツの悪い思いをしたり。

最新ファッションとメイクで完璧に仕上げて、
画家のパーティーに出かけたら、
昔の友人に「どうしたの?演歌歌手みたい」と言われたり。

ミラノ女性のおしゃれに刺激されて
張り切って装ったつもりが、
鏡に映る自分は、「日本人そのもの」だったり。

そんな彷徨える状態から、
自分の納得できるスタイルを見つけるまでの道筋が
1つひとつ具体的に書かれていて参考になりますよ。

どの章もおもしろいんだけど、たとえば

「センスが微笑むとき」。
ファッションはセンスだと思っている人が多く、
そういう人ほど、「私はセンスがない」と嘆くけども…
という前提に立ち、

そもそも、センスとは何か?

ほんとにそんなに漠然とした感覚的なものなのか?


を考えていくわけです。

高校時代の友人を例に
わかりやすい具体例が続くんですが、
長くなるので、そこは、はしょって。


結論。

センスとは、つまり見ること。考えることなのだ。



さらに


正しく「見る」、その見たものを分析する、
そして分析したものをバランスという視点に立って
数学的にプラスマイナスする。
そうして着る服の組み合わせを考え、決めていく。

それを楽しめる人にだけ、センスは美しく微笑み返すのである。


そうかあ。


見る。それが、すべての始まりなんですね。


わが身を振り返りますと、
たとえば、ベランダでぼちぼち花を育てるようになり、
花や木の名前を知るようになってはじめて
「庭を見る」ことができるようになったように思うんですね。

それまでは「きれいね」「庭ね」「花いっぱいね」で終わり。

実は、な?んも見てなかったわけです。


見るって、言葉にして理解する


ことでもあるのかもしれません。


何か一つ、しっかりと見ることのできる人になる。
そのとき、センスが身についているのかもしれませんね。


追記)あれ?。「私のスタイルを探して」は絶版になっている!と思ったら、
   昨年、別の著作といっしょになって再刊されていました。

おしゃれの視線・私のスタイルを探して―光野桃コレクション (文春文庫)おしゃれの視線・私のスタイルを探して―光野桃コレクション (文春文庫)
(2009/06/10)
光野 桃

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コメント

本の紹介ありがとうございます

新年のご挨拶遅れてしまいました。
寒中お見舞い申し上げます。
今年もよろしくお願いいたします。

なんだか素敵な内容の本ですね。他の著作もおもしろそうな予感。

いつか自分のブログで「服をとっかえひっかえ着ていれば、とりあえずは「おしゃれな人」ということになるんだろうけど、それじゃつまんない、知恵が足りない、工夫がない。 」と書きましたが、それに通ずるような感じがします。
まずは書店へGO!!

  • 2010/01/16 (Sat) 09:45
  • イシコロ #-
  • URL
Carinaさん、こんにちは!

あ~、、、なんか、わかるような気がします、、、。

随分前にお世話になっていた会社のデザイン顧問(男性)が、

『最初はわからなくてもいいからアートに沢山触れなさい。見て観察し、感じているうちに、
徐々に頭の中で興味となり、それが吸収され知識となり、いずれ自分のものになるから』と、、、

私がそれを、しっかり実践出来たかは別として、(笑)少し通づるものを感じました。

自分自身も、周囲の事や、当時の彼の好みや(爆)、流行りが気になっていた頃は、なんだか身につけるもの全てしっくりこなかったのですが、

自分自身を観察、把握して、自然体で考えたスタイルが一番しっくりくる気がします。
無理のあるファッションの時は、表情にも出ますよね。

出掛け際、鏡の前で、しっくり心地良く、気分が良い時、『センスに微笑まれて』いるのかな?

とか言って、出掛けた先で、なんか『よりによって、お出掛けの今日の装いダメダメじゃん!』
と思う事もしょっちゅう!(笑)

  • 2010/01/16 (Sat) 12:22
  • gatto #e8aPltnE
  • URL
No title

センスを統計的に好まれるものって解釈するなら
センスをもつ事は自分と言うものをいかに俯瞰視できるかにかかっていますよね。

個人個人年令も体型も肌の色も肌の張り髪の色
顔かたち雰囲気皆違うんだから、そもそも40代に似合うファッションとか、そんな大雑把なもの存在する訳が無いのですよね。

だから人がセンス有るなって感じられるファッションになるには自分の骨格、身長、肌の色、髪の色艶、童顔か大人顔かなどをとことん観察して
個性に似合う選択をするか

または先にミラのファッションとかが着たいなら
その雰囲気をマネにまね自分の資質を近づけていくか(この方がハードル高いですね)
その二つの方向が有るのかなって思います。

でもね、ほんとに着たいものがあるなら
人の目を気にしない選択もありますよね。

  • 2010/01/16 (Sat) 17:10
  • あっころ #-
  • URL
No title

光野桃さんの本を以前YUKKEさんに送って頂いて読みました。光野桃さんとか大橋歩さんなど、自分に厳しい硬派な人に憧れます。私がたるんでいるからだろうな。美しいモデルさんが素敵でもあまり参考にならないのだけれど、普通の体型をしていて厳しいまでにお洒落を追及している彼女たちには触発されるの。お洒落のタイプは違っていても、その姿勢で学ぶところ多し、かな。

  • 2010/01/16 (Sat) 19:12
  • 直子 #-
  • URL
No title

その世界のトップになる為には天才という個性が必要になる・・圧巻する何かが人を一瞬で魅了するのだから・・・

でも普段の生活に天才はほぼ必要ない。
最初は誰かの真似から始まる。そっくりそのまま真似てみて違和感のある場所を崩す。

小さくても失敗をする。重ねて失敗をしてみないと分からないのも平和な世界ではよくあること。場数ですかね?


昔 尾瀬に行くというので植物を調べていた。その中に尾瀬によくあるという(?)もうせん苔を見ていた。食虫植物である。
拡大した写真ばかりを見ていたせいか 細部にちうてはかなり見ていたはず
で 現地にいってもさっぱり見つけられない・・・なぜか・・・本当の大きさを見たことが無かったから目の前にあっても気付け無かっただけ!

アップにされると緑と赤とが同じくらいにあったその種のもうせん苔は 遠目から見ると赤いのだ・・・赤は眼に届きやすい色だとその時知った。
そして 遠くからもうせん苔を見つけるにはその赤が頼りになること・・・
そして 尾瀬という地域全体を見るとその他の植物体系もなぜそうなのか?と見えてきた・・・

ハンドブックは まず 尾瀬の全体を知らないとほとんど意味が無いのか・・と驚いたことを思い出した。


そういうことってよくあると思う。

全体像が見えないと ほとんど理解できないことが多いんだねぇと・・・


光野桃さんと私は同じ年齢だと思う。その本が出たころ 私は光野さんの意見がよく分からなかった。なぜか・・・ 彼女が推奨する服の意味が見えてなかったから・・・。

私は服飾関係に疎い場数の少ない人だったから 光野さんのようには理解できなかった・・・

今 どうなんだろうか?

  • 2010/01/18 (Mon) 10:13
  • ちゃーばー #-
  • URL
センス!

>高校時代の友人を例に
わかりやすい具体例が続くんですが、
長くなるので、そこは、はしょって。

いや、はしょらないで聞きたいっす!
そう、具体例は確かにわかりやすい。

あたしも中学時代の同級生「センス」と陰で呼ばれてた同級生がいて。
制服姿しか知らなかったあたし達に移動教室の
3日間、衝撃の私服姿を見せてくれてました!
たしかに30年以上も前なんでみんな今ほどシャレではなかったけど
それでも彼女のファッションはそれは強烈でしたよ。

まあ考えたら服だけでなくインテリアや家具、
雑貨、料理なんかもセンスとかっていいますしね。
しかもセンス=5感(直訳だと)ですからね、やっぱ見て考え、
そして感じるんですね。う~ん、いくつになっても磨いていかねばと思います。

  • 2010/01/18 (Mon) 23:05
  • MJ #-
  • URL
★イシコロさん

こんばんは!

丁寧な挨拶までいただき、恐縮です!!
こちらこそどうぞ、よろしくお願いします。

光野さん、私知らなかったんですけど、
とてもよい本でした。
イシコロさんが読むと共感していただけるじゃないかなあと思います。
ただ光野さん、ちょっと太りやすい方のようで
写真を見ると「うん?体型的にいいのかな?」という時期もありますね(^^ゞ

書店でみかけたらちらっと立ち読みしてみてくださいませ。

  • 2010/01/19 (Tue) 22:48
  • Carina #-
  • URL
★あっころさん

こんばんわ!
今日も鋭い分析、感謝です(^^)v

> 顔かたち雰囲気皆違うんだから、そもそも40代に似合うファッションとか、そんな大雑把なもの存在する訳が無いのですよね。

ほんとだ~。

でもなんか、そういう教科書的なものにあてはめようとしちゃうですよね。
それって結局自分を分析するのが面倒だからかも。
私、まさしくそれな気がしますv-16

あっころさんの最新記事の「人を思いやるゆとりとエレガンス」の関係も
興味深かったです。
それにリンク先の「向島芸者さん」のインタビュー。
会話で注意している点、相手に斜めから入るところや
間を重視するところも勉強になりました。
それも、いわば、ゆとりですよね。ガチャガチャしない。
日ごろが大切なんですね。ガチャガチャ禁止だ、私(笑)

  • 2010/01/19 (Tue) 23:01
  • Carina #-
  • URL
★直子さん

おおお、YUKKKEさんから直子さんに光野桃のバトンが
あったんですか!?奇遇ですね!うれしいな。

そうなんですよね。光野さん、写真を拝見すると魅力的ですが、
抜群に美人という方ではないですよね。
最近は朗読の会もなさっているみたいで、
そんな楽しみ方が素敵だなあと思いました。
朗読とか、演奏とか、
あんまりおおがかりでない芸術を楽しむっていいなあなんて思いました。

  • 2010/01/19 (Tue) 23:15
  • Carina #-
  • URL
★ちゃーばーさん

ああ、なんか考えさせられました。ちゃーばーさんのコメントを拝見して。

全体を見て細部を考えるって大事なようだけど、
自然界ってそうはなっていないってことを
福岡伸一さんが言っていたんですよね。確か。
「マップラバー」と「マップヘイター」として。
マップラバーは、地図の俯瞰(上から見た全体像)を頼りに目的地に行く人。
マップヘイターは、地図がなくても記憶や風景や勘を頼りに目的地にたどり着いてしまう人。

ちゃーばーさんは、後者なのかなあ。
私は、目的地まで迷いまくる方向音痴のマップヘイターです(爆)

  • 2010/01/19 (Tue) 23:21
  • Carina #-
  • URL
★MJさん

こんばんは!

はしょったその部分こそ、知りたいとこですよね(笑)
失礼しました。

美大志望の高校生なんですが、
(その容姿はやっぱ長いので端折ります 笑←華奢で足が長いの)

・服を選ぶときに時間をかけて妥協せずに選ぶ
(1ミリの差が大きな違いを生むことをデッサンで学んだはずだ)
・「よし」とする判断基準が厳しい
[あいまいな気持ちのまま選ばない)
・服の形、自分の体を分解し、読み取る力がある
・厳密に色を判断する
(黄みがかった赤、とか白の混じった赤とか)

今引用してみて思ったけど、
この分析、ほとんど光野さんの憶測です(笑)
きっとこうだろう、という。
でもたぶん、絵を描く感性で装っていた人なんでしょうか。

どんな50代になっているんでしょうね。その方。
そっちのほうに、興味ありますねえ~。

  • 2010/01/19 (Tue) 23:28
  • Carina #-
  • URL
★gattoさん

返信の順番がおかしくなってすみません!

gattoさんはきっと、すごく観察できているし、
それにご自身の居心地のいい服装とか環境とか人間関係とかが
わかってらっしゃると感じてます。

光野さんの具体例にあげた方も美術関係の人で
やっぱり「見る」力はgattoさんと共通するんじゃないかなあ。
うらやましいなあ v-238

『最初はわからなくてもいいからアートに沢山触れなさい。見て観察し、感じているうちに、
徐々に頭の中で興味となり、それが吸収され知識となり、いずれ自分のものになるから』と、、、


それは本当に同感です!どんなものでも、わからないままに見るって大切ですね。海にどっぷり浸る感が、将来生きてくるというのはそのとおりだと思います。若いときにはよくあるけど、これからもどっぷり体験、大切にしたいなあ。できるかな。

  • 2010/01/19 (Tue) 23:31
  • Carina #-
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