嵐の日も、晴れの日も、生きましょう。


土曜日の夕方、犬の散歩から帰ったら
夫が倒れていました。


救急搬送され、手術を受けましたが
まだ意識が戻りません。


冷蔵庫の材料を確認しながら、
「晩ごはんは、僕、作る」と
いつものように機嫌よく言っていたのが
元気な彼を見た最後。


彼とわたしの「第二期」はこれから始まりますが、
だからこそ、元気だった「第一期」を思い出して
ひとり、大事に弔っています。


思い出すのは、なんということもない場面ばかりです。


その日に食べた卵サンドとブロッコリーとミニトマトと
キウイといちじくとヨーグルトの朝ごはん。
昼ごはんは、なすとパプリカの素揚げと錦糸たまごのそうめん。
すだちの薄い輪切りをそうめんにいっぱい散らしたこと。
あの昼食がふたりで、
あのように健やかに屈託なく囲む最後だったのです。


毎水曜日、遅くなるわたしに代わって
大盛りのシーフードパスタを作ってくれたこと。
トングでほぐすようにして麺をつかみ、
互いの皿にとりわけて旺盛に食べたいつもの習慣。


「今日、何食べる?」と互いに聞きながら、
一週間分の食材を買い込んだ
毎日曜日のスーパー。


そんな何ということもない、
明日もあさっても、
来週も再来週も続くに違いないと思っていた瞬間を
何度も何度も思い出して
忘れることがないように頭に刻んでいます。


第一期のわたしたちを
私たちだけが知っている日常の機微とあうんの呼吸を
反芻し、慈しみ、存分に弔って
第二期のわたしたちへと歩みを進めたいと思います。


今日の大阪は嵐でした。
みなさん、元気で。
嵐の日も、晴れの日も、生きましょう。






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「ちょうどいい心配」なんてない。それでも心の底からありがたい。



幼なじみのKちゃんが
「ごめん。気ば使わせてしまうけど行くけん。
ホテルに泊まるけん、ほっといて。
犬の散歩とごはんづくりばする」と
大阪についてからLINEをくれて
うちに泊まっていきました。


何種類もの冷凍惣菜とジャム数種と柚子こしょうと
ホームベーカリーで焼いたパン2種類と現金と
おまじないみたいな祈りを書く紙を持ってきました。


豆苗や空心菜を多用した料理に
「野菜が高い時期」の主婦の知恵やたくましさが見え、
そういう生活をしながら
何万にもなる交通費を払ってきてくれたことにぐっときました。


神奈川に帰ってからも
毎日、長文のLINEをくれるので
娘が、「ちょっとうざいと思ってる?」と聞いてきました。


そのときです。
思ってもいない返事をしたんです。わたし。


「あのさ。『ちょうどいい心配』ってないよ。
心配はいつも少ないか、はみ出すほど大きいか、そもそも、かたちが合わないか。
そういうものやわ。でも、それでいいねん。ほんとに。
心の底からありがたいよ」


いつ、そんなこと思っていたんだろう。
われながら驚きました。
でも、ほんとにその通りだ。
自分のこの言葉を忘れないでいようと思いました。



「ちょうどいい心配」なんてない。
他人が寄せてくれる「心配」はいつも少ないか、
はみ出して負担になるほど大きいか、
そもそも、かたちが合わないか。
そういうもの。



そうだ、そうだ。ほんとにそうだ。


わたしの心にいま、「悲しみや不安の空洞」があるなら、
その「空洞」をピタッと埋める
他の人の「心配」などはないのです。


心配する人たちは、それがわかっているから
どんな声かけをするか、
どんなふうに接するか、
どんなふうに手助けするかを迷い、悩む。
かえって傷つけないか、気を使わせないか…と。


いま、心配される立場になって
「ちょうどいい心配」はないけど
心配されることのありがたさ、かけがえのなさを痛いほど感じています。


前回のブログにたくさんのコメントをいただきました。
うれしかったです。
忘れません。


きのうは、娘とチーズタッカルビを作って食べました。
おいしかったです。






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夫がスー(犬)に会えるようになる。それが当面の目標。


4月に娘が留学に行き、
夫婦ふたりと子犬の暮らしがはじまりました。


夫が朝の散歩から帰ると
「スーちゃん、今日は、友だちと遊んだ?」
「ご機嫌だった?」と
犬のことをあれこれと話しながら朝ごはんを食べました。


スーは二匹めの犬なので
夫とふたりでちょっと工夫して育てました。
(ここからはほぼ犬自慢です)


「しつける」のでなく
「しつけなくてもいい状態」をつくるようにしたのです。


ピンポン吠えや来客吠えをしてほしくなかったので
宅配便の人が来ると
毎回、焦らずゆっくりとお年寄りのように動いて
ニコニコして玄関に行く。
いっしょに静かについてきたら、おやつ。


散歩もリーダーウォークなどせず
犬の行きたいほうにゆっくりとついていく。
(トレーナーさんに習った時期もありましたが、やめました)
人の多い道ではリードを短く持ち、
公園などでは長くして
心ゆくまで外の世界を楽しんでもらう。


外のいろんな場面に
無理強いせずに少しずつ少しずつ
慣れてもらう。
人も犬も車も怖くないと
いつの間にか自然に思えるように
ゆっくりと時間をかける。


理想は、「自分で判断して好ましい行動をとる犬」でした。


もともとの気質もあって
7か月ころからは、
道端で立ち話をしていると
いつの間にか座り、伏せているようになりました。


動物病院でもなにも言わなくても
静かに座り、伏せています。


夫が倒れた日、
多数の救急隊員がドドドっとやってきて
夫をドドドっと運び、
わたしはその後を追って
ドドドっと家を出て
バタンと玄関をしめて走り去りました。


さぞかし驚いたに違いない
まだ10ヶ月のスーが
長時間ひとり残され、
大声で鳴いて近隣の人に迷惑をかけていないか心配でたまらず、
近所の友だちに聞きに行ってもらったのですが、
「シーンとしてた。何も聞こえない」と言っていました。


留守番が不得意で
遠吠えのように鳴いてしまう犬でしたが、
その夜は、ひとりこらえて過ごしたようです。
(ドアの桟を噛んでました)


今回のことでいろんな人が出入りしたり、
泊まったりしましたが、
吠えることもなく、落ち着いて迎え、
食事中はテーブルの下にふせたり、
ソファで眠ったりしています。


夫は、一日のうちに何度も
「だれかと思ったら、スーちゃんでしたか!?」と
仕事をする足元で寝たり、
近くをまとわりつくスーをみつけては言っていました。
その、「かわいくてたまらない」という独特の調子がおもしろくて
わたしもよくマネしていました。


夫が車いすにのって病院の外に出たら、
スーが待っている。
リードをぐいぐいひきながら、
尻尾を振って走り寄ったスーが
夫の顔がよだれでベトベトになるくらい
ベロベロベロベロなめて甘えて
みんなに「スー!ほら、だめ!」と言われる。
その日を迎えることが
当面の目標です。





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その時々、現実に即して、「希望」をつくりだして歩いていこう。


夫の入院から1週間ほどして、主治医の先生に
「転院後は、回復リハビリ病院に行くか、
意識の状態がよくなければ療養型に行くか。
見学などもしておいたほうがいいですね…」と言われ、
もう、転院の話!
そして、見学!!!???となりました。


なんせ「配偶者の長期入院初心者」なので
いろいろわからないことばかりです。


しかし、そうか。そうなんだな。
急性期医療の入院は、短期間なのだな。
次の入院先を決めるには、
こちら側の自発的な「見学」が必要なんだな、
ということはわかりました。


療養型の病院に行くと
リハビリ時間が少ないとのことなので
できるだけ回復リハビリの病院に行かせたい!
まだ、50代だぞ!若さに賭けようじゃないの!


親戚の理学療法士に聞いたり、
自分でもネットで調べたりして
評判・先進性・立地等で「ここ!」という病院を見つけ、
いまの入院先の退院支援部門と話をする前に
自分で予約して見学に行ってきました。
先週の水曜日のことです。


ピカピカに磨かれた清潔で居心地のいいロビーには、
まさかの犬!ゆっくりと起き上がり、
わたしと娘のほうに近づいてきます。
犬好きにはたまりません。


一日、宿泊してくつろぎたいような雰囲気の病院でした。
トイレ付個室は高くてとても無理ですが、
トイレなし個室は室料無料。
2人部屋もゆったりとして居心地がよさそうです。


専用の部屋はなく、
空間全体をリハビリ空間ととらえ、
あちこちで患者さんたちが
さまざまなリハビリに取り組んでいました。


いいなあ、ここ、いいなあと思ったのですが
肝心の入院中の病院から、まったく連絡がありません。
「退院支援を担当する看護師です。
どんなことでも一人で不安は抱えず聞いてくださいね」と
さわやかな微笑みを残して去った看護士さんも
以来、一度も現れず。
あなたは、どこにいるの?
そもそも、どこに行けば、
「どんなことでも相談できる」の?
どこで不安なわたしを待っているの?



待っていたら、時間ばかりが過ぎる予感、いや確信。



一昨日、病棟クラークの女性に
(事務職のユニフォームを着た人。その存在も知らんかった)
「転院先を早め早めに相談して
見学もしてくれと言われたが、どうなっていますか」と尋ねると
主治医の先生につないでくれて
先生が目の前で退院支援の医療相談部署に電話。


そして昨日。面会に行くが再び静寂。
「あともう一日ぐらい待ってもいいんじゃね??」という
遠慮がちで逃げがちな自分がささやくところを
「いや、そうはしておられぬ!」と奮い立たせ、
再度、病棟クラークの女性に
「どんな不安も相談してくれと言われましたが、
どこに行けばいいのでしょう。教えてください」
と言うと堂々とした立ち居振る舞いの看護師長が
口頭では謝罪はするが、頭は下げないという風情で現れ、
「1階入院相談のEを訪ねて
この後、お時間があれば話をしてください」


あああ~!!やっぱ、この一押し、必要だったんだ!!
Everybody、身内が入院したとき閑々と待ってちゃダメだぜ。
疑問は都度都度、聞く。待たない。
イライラしないで怒らないで我慢強く譲らないで主張する!
病院スタッフはみなさん超忙しく
目の前の人の治療やケアに奔走しているので
「ちょっとごめんなさいよ!この件、どうなってる!ちょっとだけつきあって」と
振り向かせなくてはならないのです。学んだ!


退院支援担当のEさんは、とても感じのいい人でしたが
カルテを探すなどあわてて資料に目を通しているのがわかりました。
(「すみません。5分お時間ください」と言われたし)
連絡はいっていても、準備はできていなかったのですね。
まあ、そういうものなのです。現場はつねに混乱しているもんね。


でも!


転院先の候補が並ぶリストを前に
(そのままでは文字の羅列でしかない)
「この病院には見学に行き、話を聞いてきました。
ここへの転院を希望しています」と言うと
そこからびっくりするほど話がスムーズになり、
その病院を第一候補に進めてもらうことになりました。


要望を明確に伝えたことで
先方がこちらの要望を踏まえた
「第二候補」も提案してもらえました。


自分で動いておいてよかった。
先行して動いてよかった。
誰が偉かったって、わたしが偉かった(笑)!



「配偶者の闘病」も
「病院内のシステム」も
「医療や福祉の仕組み」も
「すでに決められた流れに従う」ように思いがちですが、
そうじゃないんだ。
主体は、当事者である夫とわたしなのだ、と
改めて思いました。


まだまだハードルはありますが、
転院先が少し見えてきて
希望が生まれました。


その時々に
現実に即した「希望」を作り、
その光を見つめて歩んでいこうと思います。


※ツイッターでは、ウェブマガジン「オバフォー」のメンバーであり、
 言語聴覚士でもあるCometさんが、このツイートに返信するかたちで
さらに踏み込んだ体験を教えてくれています。あきらめちゃいかんですよ、何ごとも!
クリックするとやりとりが読めます↓



※コメントやメールでアドバイスや情報をいただいています。
 お一人おひとりお礼も言わず、すみません。
 いますぐには実行できないことも覚えておいて、これからに生かします。
 わたしのために心をくだいてくださって心から感謝しています。
 ありがとうございます!





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不平も不満たっぷりの 「幸せかどうかよくわからない日々」の価値。



娘が留学先に戻る前、
夫の病院にあるコンビニで雑誌LDK the beautyを買い、
メイベリンのファンデーション
「ドリームホイップスムースリキッドが高評価」だと言いました。


「どれどれ?」と情報ぎっしりのページを見てみると
イブサンローランと同率ナンバーワンと書いてあるではありませんか。
ちょうどファンデーションが切れそうだったので
早速買ってみました。
スッと伸びていい感じなんじゃなかろうか。
プチプラコスメをお探しの方、
一度、試してみてはいかがでしょう。


LDK↓






・・・と軽めのお役立ち風話題からスタートしてみました。


夫が倒れてから40日あまり。
しばしば、彼が元気だったころ、
私は何を思って暮らしていたんだろう?と
考えることがあります。


日々、あれをやらなくちゃ、これをやらなくちゃと思っていたし、
そんなにボンヤリしていたわけではない。
ささいなことを心配したり、不安になったり、
プレッシャーに感じたりしていたよなあ。


いま、ひとりで出かけるとき、
この前までの私たちのように
車に乗って出かける夫婦をみかけることがあります。
なごやかに笑顔で語りあっている人たちもいれば、
どちらにもなにがしか不満や
腹に据えかねるものがあるのでしょう。
黙ったまま憮然として駐車場から
車を出している夫婦もいます。


そうだよなあ。そりゃそうだ。
ダンナの言葉や行動が
めんどくさかったり、気に障ったり…。
そういうことの連続だよな。
相手に言いたいことも意見したいことも
投げ出したいことも山ほどあるわけです。
わたしもそうだった!!



不平タラタラ、不満たっぷりの
「幸せかどうかよくわからない日々」。



この、幸せかどうかよくわからない、というのがキモで
その雑駁感、そのつきつめなくていい感、
わたし、こんなことしていていいのだろうか感、
もうひとつ充実していないような気もするな感…。
そういったものが、
「かけがえのない穏やかな日常」の実態なんでしょうね。


幸福とは実はそういうもので
不平や不満も、その必須要素なんだろうな。


…となんだか悟りを開いたみたいな書き方になっていますが(笑)
そんなことはありません。
ちょっと感傷的な思いつきを書いてみました。


晴れた日は電動アシスト付自転車で
病院まで通っています。
朝夕の犬の散歩で毎日1万歩程度あるいているので
わたし、このままいくと健康になるだけでなく
ナイスボディになるかもしれません(笑)。


いいこともあれば、悪いこともあるねー。


※コメントやメール、ありがとうございます。
励ましの言葉だけでなく
参考サイトなどを教えてくださったりと
感謝でいっぱいです。
落ち着いたら、お返事書きたいと思います。





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自分にとって「いいもの」とは、 「どこで手を打つか」と同じだ。


一昨日、姪ふたりが気分転換にとランチに誘ってくれました。


姪は、義姉の娘さんで33歳と31歳。
ひとりは知的障がい者施設で働き、
もうひとりは理学療法士をしています。


ランチは、夫の病院からそう遠くない新しいカフェ。
食事のあと、併設されているインテリアのアウトレットショップを
見て歩きました。


そのとき、妹のほうがお姉ちゃんに
「布団、買えば?」
と言ったのです。
東京に住む自分が、
姉の家に泊まるとき、
寝心地のいい布団に寝たいのでしょうね。


「ああ。そうやな。でもニトリに6000円台でセットがあったわ」
「全部で?」
「うん。それにしようかな。安いし」
「布団は長く使うから、いいものにしたら?」
「いいものかあ!悩むなあ!」


という会話。
うんうん。この文脈で「いいもの」という案を出されたら、
揺れるよね。悩むよね。
だって「いいもの」が「いい」に決まってるもん。
さらに「いいもの」には
「長持ちする」「結果的に安上がり」という信仰もついてくる。


叔母ちゃん、ちょっと会話に入れていただきましょう。


「わかる、わかる。『いいもの』が何かって難しい問題よね。
叔母ちゃん、この年になっても答えが出せてないよ!」


そう言うと二人の姪は大笑いしていました。


「いやほんとに。つまるところ、
『いいものとは何か』とは、
『どこで手を打つか』と同じな気がするよ」




娘さんたち、いま、叔母ちゃんは
ちょっといいことを言いましたよ。
この叔母ちゃんが口にした言葉の重みを
あなたがたは、これからの人生で何度も感じるでありましょうよ。


どこかにある「いいもの(本物)」を思い描き、
それこそが本来手に入れるべきものなのに、と感じながら、
自分がいま、手に入れているものや
手に入れようとしているものは、
「いいものじゃない(偽物)」だと感じる。


その不自由極まりない「いいもの縛り」に
終止符を打つには、
自分が「どこで手を打つか」を決めることだ。


布団もそう。
バッグもそう。
食器もそう。
旅行もそう。
なんなら、今の私にとって切実な医療だってそう。


いわゆる「身の丈を知る」ってことなんでしょうが、
その言い方は、ちょっとつつましくて大人しい。
丁寧な暮らしを想起させて
結局「いいもの信仰」に引っ張られる。
一方、「ここで手を打つ」というと
自分で決めて行動する、
迷いをぶった切るニュアンスになりませんか。
欲望と手打ちするのですよ。勝負師みたい。


人生は、「どこで手を打つか」を決める行為の連続。


どこで手を打つかを決められれば、
一式6000円の布団だって堂々と「いいもの」。





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「その他大勢」の油断に注がれる視線と言葉のチカラ。


9月1日に夫が倒れて、間もなく2カ月。
残念ながら意識の状態はまだよくありません。


最初のころは、親戚が多くやってきたので
寝た子を起こすみたいに
胸元を軽くパンパン叩いて
「ほら、来たよ!目をあけて!」と
大きめな声かけをする人が多く、
わたしも、「な、なんかこれって違和感、
下手な芝居みたいだぞ」と思いながら
同じようなことをやってみることもありました。


いまは、面会に行くのはほぼわたしひとりなので
家で日ごろ、話していたように
いろいろなことをフツーの声でフツーに話せて
ずっと気が楽です。


ここからいきなり自慢をぶち込みますが、


先日、看護師さんに
「お元気なときは、やさしい方だったんですか」と尋ねられました。
なんで急にそんなことを言うんだろうと驚いて
「はい!やさしくて面白い人でした」と答えると
「奥さんの接し方を見ているとわかります。
なかなか、そういうふうにはできないので」と言われたんです。


夫は、いつも笑っちゃうくらい鼻毛の手入れをする人で
電動鼻毛切りと鼻毛切はさみの両方で入念に手入れしていたので
たとえ、寝ていても鼻毛が出ているのはさぞかし嫌だろうと
ちょくちょく鼻毛を切っていたため、
「ヒゲのみならず、ハナゲまで!」と
大きな感動を呼んだのかもしれません(笑)


そこで思ったのです。鼻毛はともかくとして


見られているんだなー、と。


患者の家族は、「忙しい看護師さんを目で追う」時間が多いので
つい自分が「相手を見ている」と思いがちです。
「自分も見られている」とは、なかなか意識しにくい。


しかし、看護師さんは、
大勢の患者とその家族を
忙しく立ち働きながら常に定点観測しているんですよね。
ある瞬間に目に入った行動、
ある瞬間に耳に入った言葉などから、
さまざまなことを記憶し、判断しているのだろうと思いました。


もちろん、プロの医療人ですから、
そんなことは決して口にはされませんが
「患者の家族」の明暗、虚実、本音と建て前を
知り尽くしていることでしょう。


で、看護師さんに褒められた話を
かつて中学の教師だった長崎のねーちゃんにしたら、
「ああ。わかる。先生も同じよ。
保護者一人ひとりば、ものすごーーく見とるよ。
そして、先生どうし、感想ば言い合うとよ!」
と熱く語っていました。


そうか。学校の先生もそうか。
そうだよなあ。
飲食店とかコンビニの人もそうだよなあ。


自分が「その他大勢」に紛れていると思うとき、
実は細かく「定点観測」され
ときには記憶され、
情報交換までされているのだ。




当然のことなんですが、
つい忘れてしまうので
改めて心に刻みました。


この2カ月、わたし自身も余裕がないなかで
「その他大勢」にまぎれている気分になっていました。
「看護師さんたち、夫をちゃんと見てくれているだろうか。
大丈夫かな。気づいて、気づいて。こっち見て」と
ひな鳥が親鳥を待つような気持ちになりがちでしたが、
自分は、看護師さん一人ひとりを
「人間として」ちゃんと見ようとしていただろうか。


伝えるべき感謝を、
伝えるべき言葉で
ちゃんと伝える努力をしていただろうか。


少なくとも、先日、「やさしい方だったのですか」
と尋ねてくれた年配の看護師さんには、
その言葉をかけてくださったお礼を
どこかで言いたいと思います。


その一言で夫はひとりの「病人」から「やさしい人」へ
わたしも「がんばってますね」という
励ましとねぎらいをもらいました。
本当にうれしかった。
「見つめる目」と「与える言葉」の力を知りました。


どんなときも、悪いことばかりじゃないねー。





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いいとこもあるじゃないか!「そんな自分」とやっていくしかない。



37歳から自転車にのりはじめたうえに
運動神経が超ド級に鈍いので
いまでも下手です。


狭い道の向こうから
若者が二列になって疾走してきたりすると
ぶつからずに通り過ぎることができるか
心臓がバクバクするし、
急なカーブも苦手。


スピードはのろいし、
あちこちでモタモタする。
「あのおばはん、とろいな」と
必ずや思われているに違いありません。


夫の転院先まで
天気のいい日は電動アシスト自転車で通っているけど
われながらダメだなあ、
こんな自分いやだ、と思います。
さらに、もんのすごい方向音痴なんですよね。
つまり、「移動」全般が苦手ということ。
効率的な移動、臨機応変な移動、となると
からきしダメ。
病院内でもしばしば迷うぐらい。
ほんと、迷いつづける人生です。


そのかわり、ものごとを整理して決断するのは得意です。
「これ、迷ったり、先延ばししたりすれば別案が出るかな。
出ないかな。出ないなら、今、決めよう」と思える。


ほかの人の意見にも耳を傾けますが、
「ま、多少、何を言われても気にするまい」と
と割り切ることもできるので、そこも大丈夫。
今回の夫の病気については
「なんだかんだ言って決めるのは私だ。
あとは、みんな、次第に遠のく」と
腹をくくっているので
そこも迷いません。


あんなに道に迷うのになあ。
こういうことは迷わないんだなあ。


前回の記事に書いた女性の運転手さんは、
方向音痴じゃなさそうだし、
運転もプロだからうまい。
移動は得意だろうなあ!
効率的な移動に長けていて颯爽としているタイプ。
でも、もしかしたら人生の選択には迷う人なのかも。
情に流されやすいかも。


隣の病室には、70代の車いすの男性が入院しています。
同い年ぐらいの奥さんは、
毎日、ずっと旦那さんにつきっきりで
車いすを押して出かけたり、テレビを見たりしています。
ほとんどいつもゴキゲン斜めです。
病院スタッフにもちょっと横柄な口ぶり。


ずっと付き添う(退屈ですよ。わたしにはできない)ことはできても
明るくふるまうことは不得意なんでしょうね。
夫婦関係も影響しているのかもしれないなあ。
「まわりの人の気分を明るくする」ことは
苦手そうです。


結論。わたしも、女性ドライバーも、隣の奥さんも
「そんな自分」とやっていくしかないのだ。


ここは、人よりたくさんの時間がかかる。
ここは、人より回数多くやり直さなければならない。
ここは、人より下手にしかできない。


「んもー!」と思いながら、
そんな「ダメな自分」とやっていくしかない。


自分の「得意」と「不得意」って
漠然としか理解してないことが多いですよね。
不得意な面ばかり過度に意識して
得意な面をあまり意識していなかったり。


人生が、ちょっとハードな立場になったとき、
「得意」を知っておくのって大事だと思う。


他人から見たら欠点でもよし。
むしろ、そのほうがいいかもね。





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この二カ月半で一番泣いた。「書くこと」ってすごいぞ。


夫が倒れて3日後に
嵐の日も、晴れの日も、生きましょう。
という文章を書きました。


この2カ月半の自分の行動のうちで
「やっておいてよかった」と思うことの
筆頭がこの文章を書いたことです。


このとき、ここに、
彼が元気だったときの言葉と
ふたりでなごやかに食べた朝食と昼食を
こと細かに書いたことで
いまも、そのときの夫の表情や声を
はっきりと思い浮かべることができます。


記録する大切さ、
動画や写真もいいですが、
記憶に刻むチカラの大きさでは、
「文字の記録」にかなわないかもしれません。
そのことに改めて気づかされています。


惜しむらくは、夕飯を覚えていないことです。


倒れる前の二日間は東京出張と
友人との飲み会で夕飯は摂らなかったので
そのもう一日前。
何を作ったのか、
何を食べたのか、
彼が何を言ったのか、
思い出して何度も振り返り、
この胸に刻んでおきたいけど、
どうしても思い出すことができません。


その何日か前に奮発して松茸を買い、
鱧の骨を焼いてだしをとり、
土瓶蒸しを作ったのですが
「深い味だなあ。味わい深いなあ」と
とてもうれしそうだったことを
その代わりのように
何度も何度も思い出しています。


syokuji.jpg


倒れる日の午前、台所の流し台に寄り掛かって立ち、
この記事に書いた先輩のことを話していたら
「僕は、おかあさん(わたしのこと)で本当によかった。
いっしょに稼いでくれる人でよかった」と
ほめてくれたことも何度も思い出します。


あたりまえだろ、というように
「フフフ」と笑って、
わたしは、褒めなかった。


あのとき、なんで、褒めなかったんだろう。
「わたしもだよ」ってなんで言わなかったんだろう。
なんで、わたしは、こうも、言葉をケチってばかりだったんだろう。


いま、この文章を書きながら
この2カ月半で一番泣いています。
ボロボロと涙を流しながら書いている。


ああ。書くことってすごいなあ。
記憶にしっかりと刻んだり、
心を解放したりするんだなあ。
そんなつもりじゃなく書きはじめたので
自分でも驚きました。


今日は曇り空。
夫のもとへ行ってきます。


なんだか、愛の告白みたいな文章いなっちゃいましたね(笑)
許せ。





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自分を責め過ぎない。怒った私を許してあげよう。


先週は、「荒ぶり週間」でした。


少しずつ思慮深く冷静かつ温和に
齢を重ねてきたつもりでしたが、
先週は、お見舞いに来た義母に怒り、
マンション管理組合の会長さんにも怒りをぶつけました。


荒ぶったなー。


義母のことはご想像にお任せするとして、
管理組合の会長さんとは、
駐車場の問題でぶつかりました。


夫の車は廃車にしたけれど
春には新たに購入するかもしれないので、
来年3月まで猶予がほしいと事情を説明したものの
ルールだから明け渡してくれ、の一点張りだったからです。


被害者意識、強まる。


結論から言うと
荒ぶっただけで
物事は何も解決しませんでした。


発散したいだけなら、怒れ。
解決したいなら、怒るな。


わかっていたはずなのになあ。


「荒ぶっちまった」と反省していたところ、
翌日、犬の散歩をしていたら
ばったり会長さんと会ったのです。


向こうは気づかず通り過ぎようとしましたが
「あ!会長さん!」と呼び止め、
「昨日は感情的になって申し訳ありませんでした。
会長さんは、イヤな役割を引き受けて来てくださっただけなのに」


そう言って頭を下げると、
会長(女性。60代ぐらいか)は一瞬驚いたあと、
パーっと明るくなり、それからクシャっと顔をゆがめ、
「私は、なんとかしたいと努力したんです。
大変なことがわかっているから。
本当にごめんなさい!」
となんだか謝罪合戦になりました。


よかった。
この偶然の出会い、
神様が与えてくれたんじゃなかろうか。


怒りは生産的な行動ではないので
できれば怒らないほうがいいけれど、
わたしは、今回の自分の「荒ぶり」を
許してあげようと思っているのです。
許して、理解してあげようと。


この3カ月あまり、
概ね笑顔でやってきたけれど
「なんでだ!?」という思いが
蓄積していたんでしょう。
それが、大人げなく噴出したんだと思います。


お義母さんともそれなりに仲直りして
円満に別れたし、よかったことにしよう。


自分を責め過ぎない、
自分の過ちをゆるす。
これもたまには大事なんじゃなかろうか。


しかし、「怒り」からは何も得られない。
再び、肝に銘じました。





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