ピンポーンとなったので
「はーい」と高くないほうの声で答えたら
ドアの向こうから「K山です」という
高い小さな裏声が聞こえました。
近くに住むK山さんです。
いまはあまり見かけないけど、
長い間、スーパーで働いておられたので、
会えば、あいさつしたり、言葉をかわしたりしていました。
年齢は、たぶん70歳前後だと思います。
ドアを開けると、すぐに、
「お隣さんから、ひよこの人形もらった?」
と聞かれました。
「あなたのところには、いろいろあげてるって聞いたから。
その人形、わたしが作ったのよ」
たしかに、お隣さんにはちらし寿司とか、巻き寿司とか、炊き込みご飯とか、
食べ物中心にいろいろもらっています。
それだけじゃなくて、奥さん手作りの折り紙で作った箱とか、
成人した息子さんが使っていたギターとか、
娘さんが以前、集めていたご当地キティちゃんグッズとか色鉛筆とか、
そういうものももらいました。
(お隣さんも70代のご夫婦です)
うちも食べ物を中心にあれこれ持っていきます。
ひよこの人形はまったく記憶になく、
「もらってないですねえ」と答えると
K山さんは、玄関に飾っている小さな雛人形を見て
「わたし、こういう人形も作れるよ。
お隣さんにもいろいろ教えてあげた。
折り紙の箱ね。あれも私が教えたんよ」と言い、
わたしの顔を、続きを待つようにじっと見ていましたが、
何となく長くなりそうで、あいづちだけしていたら、
物足りなくなったような感じで
「じゃあね」と言って帰りました。
翌々日、お隣さんに会うと
「K山さん、行ったやろ。ごめんな」と言われました。
ひよこの人形をもらったのは、15年以上前だそうです。
突然、「ひよこの人形を返して」といわれ、
どこにやったのか、だれにあげたかわからなくて
「見当たらない」というと、
「思い出して。その人に電話して」と何度も強く言われたそうです。
「手作りのものは、ずっと私のもの。ずっと持っとくべき」と。
お隣さんの奥さんは、「わたし、まちがってるか?」と言って
メガネをとって手のひらで涙をふきました。
まちがってないですよ!
全然、まちがってないです!
もらったものは、捨てても、あげてもいいんですよ!
と自分は、お隣さんにいっぱいもらっているくせに
えらく自信たっぷりに言いました。
で、思い出したんです。
幼稚園のころ、
自分が言われたのか、
言われている友だちを見たのかちょっと記憶があいまいなんですが、
女の子が女の子に
「昨日、うちで食べたブドウ返して!」と言っていた場面を。
「もう食べたから返せん・・・」
「出して。いま出して。返してよ!返して!」
K山さんは、何を返してほしいんだろう。
ほんとにひよこの人形なのかな。
返してほしい相手は、お隣さんなのかな。
ダダをこねて「欲しい、欲しい」と言ったものが
「そんなにほしいんなら、はい、どうぞ」と与えられたときの
あの色あせた、どうでもいい感じ。
こんなのちっとも欲しくなかった感じ。
えらく損した感じを思い出しました。
あのころ、自分のこじれた気持ちをどうやってほぐしてたっけ。
もらったものは、捨てても、あげてもいいんですよ!
と自信たっぷりにさばけた感じで言ったものの、
あげたほうは覚えていることが多くて
もらったほうは忘れることが多いという
一般的な法則に
K山さんは、いらだっているのかもしれない。
あげて、もらって。
もらって、あげて。
受け渡している「中身」の重さが違うんだなあー。
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