内田百閒の随筆に、
彼が、借金取りに追われていたころ、
果物屋さんでりんごを値段別にひとつずつ買い、
あとでじっくりと食べ比べできるように
マジックで金額を書いていたら
お店の人に「何をするんだ。やめてくれ!」と激昂され、
ケンカになって、怒って店を出てきた。
以来、その店の前を通りにくくなり、遠回りしている、
というようなことが書かれていました。
ああ。この感じ、わかるなーー!
リンゴにマジックで値段を書くことじゃなくて(それはちょっと変わっている)
ケンカしたあと、その店の前を通りにくくなる感じ!
口論に買ってケンカに負けるってやつだな。
店の前を通りにくくなるようなケンカはしちゃいけないな。
…と深く心に刻みました。
というのも、わたしの家族(父母と姉)が、
「口論に勝ってケンカに負ける」様子を
何度か見てきたからです。
「言ってやった!」と直後は意気軒高なものの、
その後、「顔を合わせたくない…」なんて
ションボリして自分のほうが不自由な思いをしている。
うちの場合は、だいたいこんな感じでした。
ちょっとした迷惑などを
相手に言えずに我慢する。
↓
「言わないでもわかってほしい!」と願いながら過ごす。
↓
相手が気づく気配は一向にない。
↓
ひきつづき、我慢するつもりが
ふとした瞬間に怒りが爆発して
怒りに任せて積年の不満をぶつけ、
口論になる。
↓
「言ってやった」高揚と
「言ってしまった」不安で動揺し、
「これでよかったよね」と何度も確認したがる。
↓
基本的に善良かつ小心なため
だれかと「不仲」な状態に慣れておらず、
相手と顔を合わせるのがつらくなる。
↓
避けたり、遠回りしたりする。
なかなか難しいし、
わたしもできるなんて言えませんけど、
「こうしてほしい」の「こう」の部分を
ケンカや衝突、激昂を抜きに相手に伝えて
「こう」してもらえるのが一番いいんですよね。
口論に買ってケンカに負けるな。
その店の前を通りにくくなるようなケンカはするな。
近隣トラブルに悩む友だちの話を聞きながら、
内田百閒のエピソードを再び、思い出していました。
啖呵を切って
相手をねじ伏せたつもりが、
そのことによって自分の行動も縛られ、
不自由な思いして
割りを食う結果になる…。
ケンカって、
「ケンカ後の関係」も含めてケンカだから、
「互いに嫌悪・牽制しつづける関係」に耐えられる人でないと
さらなるストレスを生むのです。
小心者にとってケンカは、ハイリスク 。
相手に対する「新たな恐怖」を呼び起こすこともあるから
感情的に怒りをぶつけるときは、細心の注意でね。
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