侮るなかれ!分配の不平等から生まれる「ちぇっ」という恨み。


いつも長いが、その日の会議は
いつにも増して長かったのです。
空調のせいか空気が乾燥し、
それぞれのカップやペットボトルも、
そろそろ空。


そこへ女性幹部が現れました。
「さあさあ、疲れたでしょう!」とほがらかに言う手には、
りんごの盛られた2つの皿!


「こっちがシナノスイーツ、
こっちが王林!ちょっと息抜きして」
と言いながらコの字型の机の端に
トンと置いて軽やかに去っていきました。


女神、降臨。


このときほど、りんごが輝いて見えたことは、
半世紀を超えるわが人生でもなかったな。


「さあさあ、みんな食べよう」という弾んだ声。
次から次に回される2枚の皿。
待てないとばかり席をたち、自らとりに行く人。


ユキちゃんとわたしの方面にも
待望のりんごの皿がやってこようとしています。
どっちがシナノスイーツで
どっちが王林かは、もはやわかんないけど、
そんなことはもういい。


みんなが口々に「おいしい!」と言っているではありませんか。
早く来い、りんご、来い。


が…。


ユキちゃんは、別の企業からの出向社員。
わたしは、フリーの外部スタッフ。


いざ、皿がまわってきたとき、
ユキちゃんが期待とともに
かすかに息を吸い込んだのに、
わたしは、ぐっと身をのりだしている
隣の男性社員に先にまわしてしまったのです。


ごめん、ユキちゃん。
でもすぐに戻ってくるよ。


ユキちゃんは、30代半ば。
けなげでかわいくて一生懸命なユキちゃん。


しばらくして、もうひとつの皿が回ってきました。
さあ、ユキちゃん、今だ。
そのときです。
後ろから「ああ、きた、きた」というダミ声が。
さっき、二つ三つと立て続けに食べて
「うまい、うまい」と言っていたカスガさん(50代男性、外部スタッフ!)が
身をのりだし、すでに手にしていた爪楊枝で
りんごを刺しているではありませんか。


ふたつしかなかったリンゴ、消える。


うんもうーーーっ!


こうしてはいられぬと、
さきほど隣に回したりんごを目で探すと
会議机の端に放置されているではありませんか。
そこにも2個だけ!
しかも、向かい側の席から狙われている!


ユキちゃんのためにもなんとかせねば。


「すみません!りんご、ちょっと回していただいていいですか」


・・・と、


「この言い方では、わたしたちは一つも食べていない!」ことは伝わらないだろうな、
でも「食べていないので!」というのもなんだかな、
だれか「あ。おふたり、食べていないのでは?」って言ってくれないかな??
なんて一瞬の間にあれこれ思いながら、
切迫しつつも遠慮がちに(ヘコヘコともいう)頼み、
間一髪でセーフ。
ユキちゃんと最後のりんごを食べました。
おいしかったよー。


なにが言いたいかというと、


日ごろは配慮に満ちた場でも
ワ~!!となると
平等にはいきわたらないということです。



たかが会議。たかがりんごで、これ。
もっと空腹やってみ??
もっと群衆やってみ?


そして「いきわたらなかった人」は
このときの状況を鮮明に覚えているけど、
「いきわたった人」は
何も意識していないということ。
記憶の格差。


密かに「ちぇっ」が生まれる構造。



女神は、降臨するだけでなく
平等な分配まで見届けてほしかったな。
なんなら指揮命令・監視してくれてもよかったな。


わたしが女神のときは、そうしよう。
そしてカスガの野郎(もといカスガさん)の暴走を許さないんだ。


いま思うと、あのとき、「りんごなんていつでも食べられる」って
クールに構えていられなかったわたしも、
「われ先に族」のひとりでしたな。
いやしかし、全体をみわたす落ち着き、大事ねー。
だれかひとり、不平等に気づく人がいると
「ちぇっ」は回避される。


大きな恨みも、「ちぇっ」の蓄積なんだろうな。





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