「家」は、まるで腸内フローラ。ひとときの危ういバランスを慈しむ。


日曜日の夕方、マンションの役員さんの家を訪ねました。


築40年近くの大規模マンションなので
名前だけでは、だれなのかわかりません。
ドアホンを鳴らして出てきた人の顔を見て
「ああ!リンちゃんのお母さん!」となりました。
リンちゃんは、何年も前に亡くなったシーズー犬です。


70歳前後のご夫婦の玄関は、
ぱっと明るい照明で照らされ、
市販されているキットで作ったようなキルティングのクリスマスツリーが
壁に飾られています。


ご夫婦とも「あがってください」
「まあ、あがってください」と迎えてくださいましたが、
書類を届けただけなので
「いやいや!ここだけで!」と言って
バタバタと玄関先だけで失礼しました。


「リンちゃんのお母さんたちのとこやった!
めっちゃきれいに住んではった~!」と夫に言いながら
ほんとにいい感じの玄関だったなあと振り返りました。


パッと見ただけだけれど
気取らないクリスマス飾り、
お父さんの書斎と玄関の間にかかっていたレースののれん、
真ん中に大きな花のある毛足長めの玄関マット、
夕ごはんの湯気のぬくい匂い。
ちゃんと掃除されているホコリの低密度感。


バラバラな色合いの
どこででも手に入りそうなものばかりが
生き生きと楽しげに集っている!
大量生産品だから作ることのできる
ぬるめのお風呂みたいに心ほぐれる楽園。
ああ。あのおうちのリビングで
ブルボンのルマンドを食べたら、さぞ、おいしかろう!


インターネットでも「ひとんちの家のなか」を見るのが好きです。
モデルルームみたいに完璧に片付いていたり、
すみずみまで統一されたインテリアのおうちには、
すごいなあ、きれいだなあとは思うけれど
さほど興味なし。


その人の「空間をきれいに飾りたい欲求」
(センスのよしあしはあまり関係ない)と
そのために適度に制圧された「混沌」を見るのが好き。
住まう人の健やかさや仲の良さという
長いスパンで考えたら、
一時的でかなり危うい均衡で成り立っている
千差万別の「居心地のよさ」を目の当たりにすると
過去の時間をモノやクセ、嗜好といったかたちで引きずって生きる人間の
懐の深さやはかなさを丸ごと受け取ったようで
感興が尽きません。


日々、栄養をとりいれ老廃物を排出する
家という「腸内フローラ」の
善玉菌と悪玉菌と日和見菌がおりなす新陳代謝と
それによる生態系を愛でるとでもいいましょうか。



ちょっとしたストレスで
便秘になるみたいに
ゴミもたまるでしょ。
そういう家のもつ危うさがたまりません。


リンちゃんご夫婦の今日の家も、
わたしたちの今日の家も、
刻々と変わりゆき、
いつかはいのちを終える、
つかの間の姿なのだよなあ。
堅牢なようで、はかない。





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