人は、その家から
いなくなった人の部屋を
いつまで、
そのままにしておくのでしょう。
実家は、わたしが大学生の間は、
ベッドも机も
そのままだった気がしますが、
そのあと、すべて片付けられ、
ガランとした物置になりました。
かすかに寂しい気がしたけど
「そりゃ、そうだよね」と思いました。
テレビなどで時々、
もう中年になった人が実家に戻って
何もかもが高校時代のままの部屋で
自分のかつてのノートを
見返したりしています。
そんな様子を見ると、
「人は、その家から
いなくなった人の部屋を
いつまで、
そのままにしておくのか」問題は、
家庭によって千差万別だと
つくづく思います。
「人がその家からいなくなる」といっても
亡くなった場合も、
施設に行った場合も、
自立した場合も、
家出や失踪した場合もあるでしょうし、
一概には言えません。
「いなくなった人の部屋を
どうするか」問題は、
その「いなくなった人のことを、
心のなかでどう片付けるか」
という問題であり、
同時に、
「かつての関係から新しい関係へと
変えるのか、変えないのか」
その指針表明でもあります。
わたしの父母は、
ある時期から、わたしを
「年に数度帰ってくる娘≒
さほど遠慮のいらない親しい客」
として迎えることにしたのだと思います。
だから「子ども部屋」が
なくなった代わり、
新しい寝具が加わりました。
わたしたちは、
親子ではあるけれども、
それまでとは違う
「新しい関係」に変わったのです。
昨年9月に夫が倒れ、
回復の希望がないとわかったころ
夫の部屋を
リフォームしようと決めました。
友だちに「まだ早いよ」と
言われましたが、
彼女の言わんとすることは、
なんとなくわかりました。
「もし、夫が
奇跡的に回復して帰ってきたら
部屋がなくなっていることを
悲しむだろう」と
わたしも思ったからです。
夫が「そうか。部屋はなくなったか。
当然だな」と
自然に受け入れられるのは、
どれぐらい経ったころだろう。
3年?5年?10年?
ずっとそのまま、は愛の証か?
そして、思いました。
大丈夫。もし、夫が帰ってきたら、
わたしが説明しよう。
これまでそうしてきたように。
きちんと話そう。
あなたが倒れてからの時間は
どんな時間だったのか。
わたしは、どんな経験をしたのか。
何を考えてきたのか。
なぜ、部屋を変えたのか
きっとわかってくれるだろう。
そして、新しい、
もっといい部屋を作ればいい。
ビザが取れ次第、
シンガポールに行く娘の部屋も
当面はこのままにしておきますが、
彼女が「たまに帰る
親しいお客さん」に
なるころには、
居心地のいいゲストルームに
変えるかもしれません。
過去を振り返らず、
未練を断ち切るように
新しい関係へと更新していく。
そのときには、必ず
「捨てる」という行為がともなうため
その人との時間や思い出を
不要だと宣言するようで
決断がつかないものです。
罪悪感もともなう。
それらも引き受けて
前を向くわたしに、幸あれ。
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