朝日新聞の「悩みのるつぼ」に
中学3年生の女の子が「気分屋の母にうんざりです」という
悩みを寄せていました。
おとうさんは単身赴任中。
子どもは、その子と中学生の妹ふたり。
おかあさんは、逆ギレしやすく、
「さっきまで機嫌がよかったのに
数分後には気分が最悪になる」と書かれています。
今回の回答者は、上野千鶴子さん。
専制君主(おかあさん)の王国から独立するまでは、
受験生の特権を使おう。
そして、自分は自分の道を切り開く岐路にあるのだと
親にも自分にも言い聞かせようというのが
回答の骨子でした。
そして
(大学への進学は、スポンサーであるおとうさんと
きちんと話しあおう)
仕事をしてきた父親のほうが
気分屋のまま家庭という王国の支配者を続けてきた母親より
きっと的確なアドバイスをくれるでしょうから。
と結ばれています。
なんだ、この理性的な父と非理性的な母という定型図。
ああ。母親は浮かばれねえや、と思いました。
相談のなかには「電話をしたら、図書館に母親が迎えに来る」ときのことが
例として書かれているので、
「気分屋の母」は、家事をしていたり、ごろ寝していたり、
テレビやネットをのんびりと見ているときに娘から電話が入って
「すぐ行くわ!」と言って家を出ているのでしょう。
相談には書かれていませんが、
パート帰りってこともあるかもしれません。
ところが、「近所の人と会って」
20分から30分ほど遅れる。
娘が遅れたときは怒るのに、
自分が遅れると決して謝らず、
「あたりまえと思うな!」とキレるそうです。
わたしは、車の運転ができないので
同じ経験はありませんが、
でも、おかあさんの気持ちは多少、わかりますよ。
(1)娘の都合にあわせて迎えに行く。
(2)近所の人の都合にあわせて世間話をする。
すでに、もう、ふたつも「他人の都合」で動いてきたのです。
謝れ??いや、確かに悪いですよ。謝ったほうがいい。
でも、謝ることをよしとしない「グズグズとした地層」があるのもまた
事実でしょう。
図書館への「送迎サービス」があるということは、
「お食事サービス」「お掃除サービス」「買い物サービス」
「洗濯サービス」「洗濯ものとりこみサービス」も
も提供されていることでしょう。
なかでも「送迎」は他者都合度の大きいサービスのように思えます。
「気分屋」が幼稚な心の表れなのは
間違いない事実ですが、
気分屋の「機嫌が悪くなる」状態とは、
多くの場合、
「ある出来事」が単体で引き金となっているわけでなく、
「ある出来事」が「あれもこれもと他の類似した出来事」を想起させ、
その「あれもこれも」が膨大な気がするために
通常の処理能力を超えてしまい、
黙りこんだり、プンとしたり、わめいたり…という
「自他ともに不快なフリーズ」に至ってしまうことです。
それが幼稚な精神性なのは認めるし、
その精神性を擁護するつもりはまったくないですが、
でも、わたしが相談されたなら、(されないけど)
不在の父を「大人」として持ち上げるのでなく、
「図書館にはどうしても迎えにきてもらわないといけませんか。
できるなら、夜遅くならないように気をつけて
バスや自転車、徒歩でいきましょう。
そんな小さな積み重ねが自立への道ですよ」
って言いたい!
そして、
「それがムリな場合は、
LINEやメールで遅れるときは、必ず連絡をするようにしましょう。
家族だからと甘えないで。
そのことを、おかあさんにも提案してみてください。
感情が衝突する原因を一つひとつ丁寧につぶしていくこと。
家族であれ、なんであれ、
そんな「小さな仕組みづくり」で人間関係は大きく変わりますよ」
って言いたい!
家事や育児に限らず、
他者都合で動くことの多い労働は、
蓄積する「不全感」を自分の言葉で冷静に伝える力を養わなければ、
「機嫌の悪い状態」になりがちです。
「気分屋のまま家庭という王国を支配してきた母親」と
言い切って解決する問題などない。
「労働の質」と「それがもたらす精神性」に
着目したいものです。
しかし、それは、その労働への最低限の敬意がないと見えてこないものです。
みんな、自分の言葉で自分の心と労働を我慢づよく語っていこう。
理解されているようで、されていないよ。
★フェイスブックやツイッターで更新情報をお知らせしています。ツイッターと一緒にブログを読んでもらうと面白さ増します。
★ウェブマガジン「どうする?Over40」、ほぼ毎日更新しています。今日はこちらも書いています。3月11日のこと。次号のメルマガ&tomiさん、そしてグッとくる「閉活」など。
★いつも応援してくださってありがとうございます!

↓
にほんブログ村 ミセス系