「わたしの道」を仮設し、できることをしながらその道を歩く。


夫を見舞ってくれる人に
「奥さんが倒れたら一番大変。自分を労わって」と
言葉をかけてもらうことがよくあります。


温かい言葉を心の底からありがたく思うと同時に
でも、ちょっと申し訳ないような、
自分はそこまでやっていないような、
ビミョーに居心地の悪い気分にもなるのです。


「夫の病」という道を脇目もふらずに歩き、
その病状をひたすら案じて心を砕きながら
日々を暮らす妻。
そんなイメージと
現実のわたしはかなり違うからです。


「夫の病」という道を脇目もふらずに歩いているのではなく、
「夫の病」という道の隣に「わたしの道」を仮設し、
その急場しのぎに作った行先のわからない道を
病む夫を横目に見ながら併走しているのが、
実際のわたしなのです。


わたしの道には、
将来の生計を案じる自分がおり、
そのために仕事に貪欲になる自分もいるし、
スーの散歩の時間を気にする自分も
帰国後の娘との暮らしを楽しみにするような、
面倒に思うような自分も、
今晩のごはんを段取る自分もいる。


「夫の病」のあらゆる問題は、
瞬時に「わたしはどうすればいい?」
に変換されるのです。
もっと端的にいえば、
「わたしはどうなる?」に。


いつからか。
最初からです。
夫が倒れたのを発見し、
救急車を待つ間、
いてもたってもいられずベランダに出て
何ごともない夕暮れのまちを見たときから。
あれが仮設道路の敷きはじめでした。


すべてが、どうなる?どうする?わたし。


わたし、わたし、わたし。


ほかの人はどうなのだろう。
…とよく思いますが、
比較しても仕方ない、とも考えます。


わたしは、わたし。
仮設の道を、
できることをしながら
日々、歩いていくだけだ。


まあ、人生ってそういうものかな。
どんな人とも、併走以外に術はなし、ともいえますもんね。




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  • 2019/01/24 (Thu) 12:34
  • #
No title

わたしもカリーナさんと同じですよ。すべてが、どうなる?どうする?わたし。わたしはほとんどの人がそうだと思っていましたよ、決めつけちゃいけませんけど。もし倒れたのが奥さんだったら、世間は男の人に奥さんの看病に専念せよと言うでしょうか?元気なのが男にしろ女にしろ、一家の収入を維持していかなければならないのだし、介護を家でやるか外部に委託するかというのも、お金の問題が大きいのではないでしょうか。

  • 2019/01/24 (Thu) 12:45
  • Jane #-
  • URL
No title

先月頭に田舎の父が入院したので
年明けまで1カ月ほど田舎に居ました。
なんもない田舎の生活に、自分のリズムが狂ってヘトヘトになりましたよ。
こういう状況になって、私も
「わたしはどうする?どうしたい?」
と「わたし」が一番クローズアップされました。

病院に居る父の側に居たい。
家で独りになった母もたすけたい。
義父母と同居しながら、実家にも奮闘する姉に悪いな…。
と、いろいろな想いが渦巻きながら
でも、私は独身でフリーランスで自分で稼がないといけないので
自分の生活が一番大事だな…って、自分を優先することにしました。
家族でも、自分以外の人の生活にべったり付き合うことは出来ないですもんねぇ。

  • 2019/01/24 (Thu) 14:26
  • アメちゃん #-
  • URL
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  • 2019/01/24 (Thu) 16:40
  • #
同感です

自分の人生を生きることしか出来ないですよね。
やるしかない、生き延びるしかない!
わたし、わたし、わたし、、、
自分のことばっかで、何が虚しい気もするけど、たとえこんなに愛する夫でも、私の人生の脇役でしかないんですよ、きっと。

そういえば、おらおらでひとりいぐも、って、そんな感じの本でした。
複雑な気持ちですが、寂しいですが、人は皆、一人なんだなぁ、、、って。
寂しい。でも毅然としていたいです。
そして、夫や家族や友達を、相手に尊厳を持って大切にしていきたいです。

  • 2019/01/24 (Thu) 23:14
  • めい #YJOg/Xy2
  • URL
No title

この記事を読んで、それが人間の本質だなぁと感じました。誰もが自分の人生、自分で生きるしかないって、改めて思います。夫婦二人健在の時は、二人で役割分担があり「二人の人生」を共に二人で、みたいな感覚ありますが、一人倒れれば仕切り直すしかない。一人が背負えるのは基本、自分の一人分の人生かと。もちろん、その上で大切な夫(妻)のために出来る事はする。その「出来る事」も自分でしか決められないですしね。

周りの方の慰めや労りの言葉とカリーナさん自身の心持ちにズレを感じられた気持ちはわかる気がします。生活するって雑多のことの連続で旦那様のことだけ考えてはいられないし。
でも、やっぱりカリーナさん、自分ではそんなに献身的ではないとおっしゃるけど、実際は十二分に旦那様のために心を砕いておられるように思います。倒れられた直後からずっと頑張ってこられました。うまくいえませんが。。ブログ読んできて私にはそう思えるので、周りの方の労いの言葉も堂々と受け取って欲しいなぁとも思いました。

  • 2019/01/25 (Fri) 11:16
  • けい #vfJUa5co
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  • 2019/01/26 (Sat) 16:31
  • #

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