「子どもの心」が歌う瞬間ある?

わたしが乗るモノレールの車両は、
おなじみの対面式シートが二列並んでいるものですが、
運転席の後ろに2席だけ、
電車の進行方向を向いたカップルシート風の席があるんですね。

なにせ高いとこを走るモノレールだから見晴らしはいいし、
運転席は大きなガラス張りだから開放感もバツグン!
天気のいい日なんて、ほんとに気持ちよさそうです。

わずか2席とあって
鉄道の魅力を知りそめた機関車トーマス世代はもちろん
幅広い鉄道マニア垂涎の的!なのかどうかはわかりませんが

鉄道マニアじゃない、少年じゃない、このおばちゃんも
実は密かに「あの席、ちょっといいな。一回、ゆっくり座ってみたいなー」と
思っていたくらいなので人気席なのは間違いないと思います。


それが先日、空いていたんです。


晴れていて、休日で、
フツーの席に座っていてふと眼をあげたら、
そのカップルシートに人の姿なし。

すっと立ち上がり、
スタスタ&ヨロヨロと結構な距離を歩き、
そのシートに座りました。

「あのおばちゃん、さては乗り鉄か」と
わが後姿をみつめて、つぶやいた若者がいたかもしれない。

「おっと、先を越された。おぬし、やるな」と
わが後姿におのれの負けを認めた
「隠れ乗り鉄オバサン」もいたんじゃないかなあ。

ごめんね?♪早い者勝ちだよ?♪

というわけで、もう、あなた。
モノレールって高いとこを走るでしょ。
もうね、超ゆる系ジェットコースターというか、
豪華寝台車の展望車みたいというか(知らんけどね)、
運転手さんの後姿越しの眺望はバツグンだし
日当たりがよくてとっても気持ちよかったです。
ああ、お願いします。神様。
次の駅でトーマス好きのお子ちゃまが乗ってきませんように!

と祈ったかいあって、次の駅は大丈夫でしたが、
その次の駅で、「お父さんに手を引かれたトーマス君」が乗ってきてしまい、
そそくさとその親子に譲りましたけどね(笑)
その幼いトーマス君と瞬間ライバルになったみたいで面白かった。

このモノレールの席に匹敵するのが、
バスの運転席のすぐ後ろの高いとこにある一人席でしょうか。
あそこもときどき、「よっこらしょ」と登攀したい誘惑を感じませんか。

作家・黒井千次氏(1932年生まれ)の「老いのかたち」 (中公新書)
バスのその高いところの席にまつわる話をみつけました。

停車している隙をついてそのすぐ下まで歩み寄った老人は
いきなり椅子の前のパイプを摑むと
しがみつくようにして高い座席によじ昇ろうとした。

すぐに運転手が気づいて横から声をかけた。

短い間があった後、そうかね、危ないかね、とでもいった表情で
無念そうにそれまでかけていた一人用の席に戻った。


他人にかけるかもしれない迷惑を無視した軽挙であり、
自分勝手な振る舞いにすぎぬといえるだろう
と認めたうえで


けれども、とここで付け加えたいことがある。
あの一人がけの高い椅子に昇ろうとして身を立てたとき、
老人の身体の底で思わず少年の心が何かを歌ったのではなかったか。
(中略)
老いの知恵などと賢しらげに呟くより、
時には老いの中に生きる子どもの心の伸びやかさに注目するのも
悪くはあるまい。



高いところの席に登攀しようとするおじいさんも、
それを見つめる黒井さんというおじいさんも大好きだなあ。
お友だちになって、いっしょに、
モノレールの素敵な座席に座りたいです。


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「なってしまった人生」を受け入れる。

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コメント

「子どもの心」が歌う瞬間か・・・ぁ

その言葉に瞬間思い浮かんだのは
「盆踊りの太鼓」だな。

夏祭りの夜、盆踊りのやぐらの上でたたく日本太鼓の音なんだな。
空気が揺れて響いてくるあの音。
あの太鼓の音を聴いてると、心キラキラして来るんだよね。
どんなオッチャンでも格好よく見えちゃって、たたく人によって遊びが入ったりして微妙に違って面白いんだよね。
夢中になって音を聴いちゃうんだな・・・。

あれ?
コレってCarinaさんの書いてることとは、ちょっと違うかな?

  • 2010/12/13 (Mon) 22:06
  • KIY子 #-
  • URL
初めまして

いつもユーモアが効いた内容で楽しみに見させてもらっています。
今朝ブログを開いたら総ページビューが1111111でした。
何か良い事がありそうです。
嬉しくてコメントしました。

  • 2010/12/14 (Tue) 08:28
  • りん30 #-
  • URL

私もあります(47歳)
昔、冬のソナタで主人公がバスの後ろの席がお気に入りだったり
歩道の低い塀の上を平均台みたいに歩くのをみて一緒だわ、っと思た事が。50前の今でもやりたい衝動にかられます。心は18歳のままです。とほほ。

  • 2010/12/14 (Tue) 08:47
  • nisiwaki #-
  • URL

「子供の心」なんて、いつも歌いっぱなしかも

姉からは、「あんたは、いつまでもミーハーだねぇ」と言われてます。
友達からも「ちょっと子供っぽいね」と言われてます。

これって、5人きょうだいの末っ子だったってことも関係しているのかしら~

きっと、おばあちゃんになっても変わらなそうです。

楽しいことや見たいものは一緒で、やっぱり人は欲張りなんです。
でも、親子に席を譲ったCarinaさん、大人が一人で座っていて恥ずかしいものの、そのほのぼのする光景いいですね~。当たり前のことができないご時世ですもの。

父ももう足腰が弱くて普段は階段さえ上りたがらないのに、ちょっと前に一緒にお城に行ったら、がんばって、手すりにしがみつきながら階段を上っているのにはびっくりしました。無理だからやめたらと言っていたのですが、よく登れたなという気持ちと、やっぱり、見たいんだな~って言う気持ちは、とめちゃいけないんだなと思いました。いつまでもやんちゃ心はなくならないのですよね。

  • 2010/12/14 (Tue) 09:40
  • Yottitti #S0MVRpSc
  • URL

うんうん。あります!

自分の中の童心をとっておくのも、私にとっては人生の知恵です♪
中に留めておくのが、常識だけど、相手の中にもやっぱりあるって思いやるのがいいですね!

  • 2010/12/14 (Tue) 12:10
  • R #-
  • URL
この記事素敵です!

このエッセイ凄く良かったです。
面白くて、ちょっとメランコリックで・・・。
私も同じような気持ちになったことがあります。
黒井千次さんの本も読んでみようと思いました。

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