熟年離婚。妻から言い出すワケ。

夫のパンツ(下着)を洗濯機から取り出し、
テキトーに振ってシワを伸ばしていたら、
フツフツ、フツフツと
すでに出勤した夫への不満が沸いてきた。
続けてシャツ(下着)を引っ張り出し、
またもやテキトーに振ってシワを伸ばすころには、
フツフツとした不満は、
メラメラとしたプチ憎悪へと増幅&増大…。

とくにケンカしたわけじゃないが、
私が主に提供する家事労働に対する
「慣れっこ」な感じが腹立たしい。
さまざまな行動の細部が思い出されて憎らしい。

なんてことありませんかね?

この感情の「マグマ化現象」は、
とりもなおさず「洗濯物干し」という行動によって
喚起されたものです。

夫の「パンツ」や「シャツ」や「靴下」という
具体的な物品を扱うことによって喚起される感情。

愛する故人の遺品が「懐かしさ」を呼び覚ますなら、
愛すべき家族の洗濯物は「うっとうしさ」を呼び覚ます。


みたいな。

私ね、この瞬間、

「ああ、熟年離婚のナゾが解けたかもしれない」

と思いましたよ。
熟年離婚の原因は夫婦の数だけあるんだろうけど、

熟年離婚を言い出すのは、なぜ妻なのか。

なぜ一度言い出したら、妻の決意は揺らがないのか。

それは、

家事という行為の性質に関係あるんじゃなかろうか。

淡々と毎日、家事をこなしつつ、
あれを思い出し、これを思い出し、
あれに苛立ち、これに怒り、
感情の増幅と定着が着々と進行する。

なかでも食器洗い。

その地味な作業風景からは想像できないほど、
「感情のマグマ」の勢いたるや恐るべし。

昨夜の私など、晩御飯の食器と鍋を洗う間に、

過去の恥ずかしかった行動を不意に思い出して赤面し、
ブログの内容は「これでよいのか」と思い悩み、
この週末の過ごし方をあれこれ想像し、
オダギリジョーの顔を思い出して少しうっとりし、
将来の自分への漠然とした不安を再確認する

という時間も空間も自在に駆け巡る、
それなりにスケールの大きい「感情の一大巨編」を体験したもん。

多くの女性たちは、淡々とこなしているふりをしながら家事に携わり、
怒りや迷いや悲しみを何度も何度も何度も何度も反芻し、
自分の過去と現在と未来を何度も何度も行きつ戻りつ、
その繰り返しに自分自身もほとほと飽きたころ、
離婚を決めるのかもしれないなあ。

そして
食器をしまい、
水道の蛇口を閉め、
タオルで手を拭き、
エプロンをはずして
台所を後にする。

家族には、いつもの食器洗いを終えたようにしか見えないけど、
彼女の決意は、もう揺らがない。


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コメント

なんか今の私すごーくわかります!同感!

  • 2010/06/29 (Tue) 10:33
  • みる #-
  • URL
同感です

これってまんま私のことだって思いましたよ。
Carinaさんの洞察力と表現力はスゴイ。
さすがプロ!。

「なんで私だけ???」

家事をするときは、
いつもこの言葉がBGMみたいに
頭の中で渦巻いてますねえ。

  • 2010/06/30 (Wed) 18:20
  • ヴィヨンの母 #-
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