シャンプー後に軽くマッサージをしてくれる新米男性美容師さんは、
ものすごく一生懸命ないい子なんですが、
予期せぬところで騒ぎ立てるという困ったクセがあるんです。
この夏、彼は、ある海水浴場に行ったらしいんですが、
「イレズミの人がチラホラいたんですよー」と言うので
「それ、いわゆる日本の入れ墨?それともタトゥー?」と尋ねると
「えっーーーと、どっちすかね?」(インコみたいに小首をかしげる)
「え?ほら。背中とかに一面、竜とか桜とかが入っているやつか、
ロックスターが腕に入れているみたいなのか、どっち?」
「ロックスターーーーー!?なんすか、それ!」(ハハ)
いやいやいや、ロックスターのどこに驚いてんの?
最後につける「ハハ」の笑い声で一気に
「お客さん、頼みますわ。その言い方、古いっすよ」の
ニュアンスぶつけてくんのやめようよ。
でも待てよ、もしかして古いのかな。ロックスター。
これは、「アベック」「スパッツ」と並べて
「脳内変換用語リスト」に追記要案件なのかな。
やだなあ。脳内変換、面倒くさいんだよなあ。
しかし、ロック・ミュージシャンだったらオーケーなのか。
アーティスト?いや、この言い方、キライだからな。昔から。
ロックンローラーって言えばよかった?
いやいやいやいや、そんなことはないよね。
ロックンローラーとでも言おうものなら、
もっと騒ぎ立てるに違いないんだ、この男は。
彼の興奮は、「ハハ」という笑いとともに一気に収束し、
膝でリズムをとるようにして話題を変えて
「友だちにも入れたがってるヤツがいて」
「あ。タトゥーね」
「入れ墨ですかね」
「入れ墨を!?」
「はい。でも、1万円ぐらいするらしいじゃないですか」
「タトゥーね」
「ですかね」
入れ墨とタトゥーの間をふたりで彷徨う、
あてのないランデブー。
そのときです。
「わたしも、もう、46歳ですよ」と女性ベテラン美容師さんの
ハスキーボイスに続いて
「46歳?まあ、そのころ、わたしは、恋をしていたわ」
というお顔を見ていないから正確にはわかんないけれども
60代と思われる女性のシルクのような自信に満ちた声。
しかも、大阪は北摂の美容院に響く上品な標準語アクセント。
それはまるでシャンソン歌手の語りのよう。
「はあ。恋ですか」とハスキーボイス。
「恋よ」とシルキーボイス。
「恋はもう、いいですわー。面倒くさいじゃないですか」
「主婦の恋には、いろいろあるのよ」
おおお。なんか、映画で見るような美容院の「女の園」な会話!
シルキーボイスに現役感と自負がにじみ出ている!
ど、どんなお方?どんなお姿?
「痛いですからね」
「うん?」
「タトゥーって痛いっすよ」
「ああ。タトゥーはね。痛いよね」
「痛いですよ。あ。僕、入れたことないですけどね!!!」
「もう、シールにしとくのが一番。シールとか、ペイントとか」
ええええーー!シールーーー!!なっつかしいーーすね!
子どものときにしましたよーー!(ハハ)
大人の恋バナにも面食らうけど、
若者の食いつきどころにも面食らうよ。
美容院って自意識とすれ違いのカオスね。
シルキーボイスのお方は、
最後にチラっと見たけど、
タオルに髪が収納されていたので
どんな雰囲気の人か、よくわかりませんでした。
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